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KININARU

毎日のきになることをかきとめます

文字通り受け取らないでください

「文字通り」という言葉がある.この言葉ないしは表現はいかにして使うのが妥当だろうと考えた.考えて考えた結果,まったくわからなくなった.

 

まず私が思い浮かんだのは,「山は文字通り山である」という幼稚な一文である.山という感じは象形文字であるため,その文字が山そのものを表しているという意味で考えた結果がこれである.

埒があかないと思ったので,周囲にいた人に尋ねてみた.「文字通りとはどのように使いますか」と.私はこう考えました,と.

ある人は「文字通り真っ青な顔」といい,

またある人は「文字通りばか」,

さらにある人は「文字通り一文無し」

と言った.

これら3つは確かに聞いたことある気がする.的確な例を即座に答えてもらい,負けたような気がするものの,定義や概念は正確な意味が大切だと日々説いている以上,辞書に助けを求めてみようとその頁をひらいた.

『その言葉の意味する額面通りであること』とある(新明解国語辞典 第六版より).用例には「文字通り骨と皮ばかりなっていた」とある.

額面通りを調べると「うそがあったり言外にこめられた意味があったりすることのない,言葉に表された通りの意味」とある.

 

うーむ,とうなりながらもまさに要は『まさにその通り!』な様子か,という一件落着な風が吹いたので,「文字通り帰宅します」と発信するとリハーサルしたかのような「それは違う」の三重奏が聞こえた.

 

えええと思いながらも,どうやらみなさんも納得できていないようだったので,今日はこの辺にします,と言って帰ってきたが,私が一番納得できない.

 

辞書にあった,額面通り,ということは用例にある「骨と皮だけだった」というのはどういう意味・状況だろうか.

人か動物かわからぬ対象は①"本当に"骨と皮だけだった,ということだろうか.それとも言葉に表された②"意味"として痩せている,という意味か.

①仮に前者であるならば,先ほどの3例も考え直す必要がある.

 

「真っ青な顔」というと本当に青い,デスラー総統のようなお顔をしているということか.

「ばか」ということは正真正銘の選び抜かれたばかが目の前にいるか,馬と鹿の2頭が目の前にいるのか,どっちなのか.

これまでの用例のうち,「文字通り一文無し」だけは理解できる.

 

②仮に後者であるならば,わざわざ文字通りをつけてかつ婉曲の表現をする必要はあるのだろうか.文字通り痩せている,や,文字通り顔色が悪い,ではなぜダメなのか.それとも文学的な表現の違いだけか.

 

その裏にある皮肉ややっかみを気にせず,「素敵な性格ね」というのをいいように捉えることの類が「額面通り受け取る」ということなのか.

「文字通り」というのは「読んで字のごとく」と何が違うのか.

また,文字通りの「通り」というのは何を指しているのか.

そんなルールはどうでもいいのか.

誰が言い出したのだろうか.

なんてことが気になってしまう.

 

こんなことを考えるうちに,なんだかよくわからなくなってきてしまった.

思い込みによる誤解があるような気がしてならない.

 

何を言っているのだろうかとおもったあなたへ.

文字通り という用語を必ず用いて一文を作れ,と言われたらどのような文章を思い浮かべますか?